冷奴

今宵は酒のあてに

豆腐をいただきました

豆腐の起源

諸説ありました

16世紀中国の『本草網目』に

紀元前2世紀前漢時代の

淮南王の劉安によって発明され

部下に作らせたのが始まり

とする説

6世紀の中国の書物には「豆腐」がなく

10世紀の書物には出ていることから

8~9世紀の唐の時代につくられた

とする説

唐の時代

北方民族との交流があり

チーズのような乳製品の代用品

とする説

などがありました

また

豆腐の「腐」が誤記とする説もあるそうです

日本豆腐協会のHPなどを参照しますと

「腐」という漢字の由来に触れていました

なんでも

「腐」の部首になる「府」には「くら〈倉〉」の意味があり

くらの中で肉が柔らかくなることを指している

と云っています

派生して

「液体でも固体でもないようなもの」

という意味があるそうなので

誤記とは言えない気がします

日本伝来

奈良時代(西暦710~784)に

遣唐使の中国の僧侶が持ち込んだと云われています

豆腐が最初に登場する記録は

西暦1183年の

奈良春日大社の神主の日記だそうです

表記は「唐府」

硬そうな表記です

江戸時代になって

『豆腐百珍』というレシピ本が大流行

続編も編まれて

多く庶民の知るところとなったそうです

豆腐屋

ねひとが子どもの頃は

町にひとつは豆腐屋があった気がします

店頭のおおきな水槽に

ぷかぷか豆腐が浮かんでいました

店内は道路に開放的で

出し続けるホースの水が

店内からまちの道へ

流れていました

豆腐屋のまえを通ると

すずしくて

マイナスイオンを感じていました

夏は

これが涼しいので

水槽に手を入れて

冷やしてた思い出があります

そういった子どもの悪ふざけは

当時でも叱られはしましたが

いまの時代では

衛生的に許されない行為かもしれません

風物詩というものは

こうして失われていくのですね

町の豆腐屋も姿を消してきています

冷奴という名前

さて冷奴

夏の季語です

暑い日に

この名前を聴かされると

聴くだけですずしいような

食べたら冷やされそうな音感です

名づけのセンスが最高です

江戸時代の大名行列の先頭で

槍を振っていた奴の家紋からとったと

云われています

釘抜紋(くぎぬきもん)です

豆腐屋「おいあんちゃん どうやって切ってほしいんだ」

あんちゃん「しゃらくせい 奴に切ってくれ」

てな感じでしょうか

この家紋

シンプルでいいですね

冷奴は絹ごし

絹ごしの冷奴を頂きました

薬味はそれぞれ

好みがあります

汁の味をゆたかにすると

また格別ですが

今宵は

しょうゆだけ

しょうゆを垂らすと

豆腐の表面で

しょうゆが八方へ滲みます

すすすすすぅ

滝となったしょうゆは

四辺の崖を

豆腐の肌を舐めるように

なだらかに下りていきます

これを上から眺めたあと

豆腐の中線にそって

細い木箸をゆっくりと

押し入れていきます

上の台地にのこったしょうゆが

台地に生じた断層へと

これまた滝となって

流れ込んでいきます

断層の裂け目も

また冷ややか

 冷奴隣に灯先んじて 石田波郷

 兄弟の夕餉みじかし冷奴 加藤楸邨

 外はいつか吹降りとなる冷奴 岡本眸

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